新6年生,公民は憲法から。
三権の働きなどについても憲法の条文から出題されることも多いから,読み込むことは不可欠。太字にしたところを中心に,ぜひ繰り返し声に出して読んでおぼえとき!
「予算」というものにぴんとこない子も多いけど,政治というものはお金をどう使うかというのとほとんど同じ意味やで。だから,憲法に予算,決算について特別の定めがあんねん。
憲法は,国民が,政治を行う権力に対して,これだけは守ってくれよ,というものを明示したもの。国民の権利を制限したり義務を課したり利害の調整や手続を定めるために政治権力を行使する側が作る法律や政令などとは,意味合いが決定的に違うもんやで。
日本国憲法(抜粋)
前文
日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであって,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基くものである。われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思う。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは,いづれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従うことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は,国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。
第1章 天 皇
第1条 天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって,この地位は,主権の存する日本国民の総意に基く。
第2条 皇位は,世襲のものであつて,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する。
第3条 天皇の国事に関するすべての行為には,内閣の助言と承認を必要とし,内閣が,その責任を負う。
第4条 天皇は,この憲法の定める国事に関する行為のみを行い,国政に関する権能を有しない。(国事行為)
第6条 天皇は,国会の指名に基いて,内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は,内閣の指名に基いて,最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第7条 天皇は,内閣の助言と承認により,国民のために,左の国事に関する行為を行う。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
六 大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
第2章 戦争の放棄
第9条 日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。
第3章 国民の権利及び義務
第11条 国民は,すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は,侵すことのできない永久の権利として,現在及び将来の国民に与えられる。
第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は,国民の不断の努力によって,これを保持しなければならない。又,国民は,これを濫用してはならないのであって,常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
第13条 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。
第14条 すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。(法の下の平等)
第15条 2 すべて公務員は,全体の奉仕者であって,一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については,成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は,これを侵してはならない。選挙人は,その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。(普通選挙・平等選挙・直接選挙・秘密選挙)
第18条 何人も,いかなる奴隷的拘束も受けない。又,犯罪に因る処罰の場合を除いては,その意に反する苦役に服させられない。
第19条 思想及び良心の自由は,これを侵してはならない。
第20条 信教の自由は,何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も,国から特権を受け,又は政治上の権力を行使してはならない。
3 国及びその機関は,宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。(政教分離)
第21条 集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2 検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。
第22条 何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転及び職業選択の自由を有する。
第23条 学問の自由は,これを保障する。
第24条 婚姻は,両性の合意のみに基いて成立し,夫婦が同等の権利を有することを基本として,相互の協力により,維持されなければならない。
第25条 すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第26条 すべて国民は,法律の定めるところにより,その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は,これを無償とする。
第27条 すべて国民は,勤労の権利を有し,義務を負う。
第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は,これを保障する。(労働三権)
第29条 財産権は,これを侵してはならない。
第30条 国民は,法律の定めるところにより,納税の義務を負う。
第32条 何人も,裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
第37条 すべて刑事事件においては,被告人は,公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
3 刑事被告人は,いかなる場合にも,資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは,国でこれを付する。
第38条 何人も,自己に不利益な供述を強要されない。(黙秘権)
2 強制,拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は,これを証拠とすることができない。
3 何人も,自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には,有罪とされ,又は刑罰を科せられない。
第4章 国 会
第41条 国会は,国権の最高機関であって,国の唯一の立法機関である。
第42条 国会は,衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第43条 2 両議院の議員の定数は,法律でこれを定める。(456・242)
第45条 衆議院議員の任期は,4年とする。但し,衆議院解散の場合には,その期間満了前に終了する。
第46条 参議院議員の任期は,6年とし,3年ごとに議員の半数を改選する。
第47条 選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は,法律でこれを定める。(公職選挙法)
第48条 何人も,同時に両議院の議員たることはできない。
第50条 両議院の議員は,法律の定める場合を除いては,国会の会期中逮捕されず,会期前に逮捕された議員は,その議院の要求があれば,会期中これを釈放しなければならない。(不逮捕特権)
第52条 国会の常会は,毎年一回これを召集する。(通常国会・150日)
第53条 内閣は,国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,内閣は,その召集を決定しなければならない。
第54条 衆議院が解散されたときは,解散の日から40日以内に,衆議院議員の総選挙を行い,その選挙の日から30日以内に,国会を召集しなければならない。(特別国会)
2 衆議院が解散されたときは,参議院は,同時に閉会となる。但し,内閣は,国に緊急の必要があるときは,参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は,臨時のものであつて,次の国会開会の後10日以内に,衆議院の同意がない場合には,その効力を失う。
第56条 両議院は,各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ,議事を開き,議決することができない。(定足数)
2 両議院の議事は,この憲法に特別の定のある場合を除いては,出席議員の過半数でこれを決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。
第57条 両議院の会議は,公開とする。但し,出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは,秘密会を開くことができる。
第59条 法律案は,この憲法に特別の定のある場合を除いては,両議院で可決したとき法律となる。
2 衆議院で可決し,参議院でこれと異なった議決をした法律案は,衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは,法律となる。
3 前項の規定は,法律の定めるところにより,衆議院が,両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。(両院協議会)
4 参議院が,衆議院の可決した法律案を受け取った後,国会休会中の期間を除いて60日以内に,議決しないときは,衆議院は,参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第60条 予算は,さきに衆議院に提出しなければならない。(予算先議権)
2 予算について,参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に,法律の定めるところにより,両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき,又は参議院が,衆議院の可決した予算を受け取った後,国会休会中の期間を除いて30日以内に,議決しないときは,衆議院の議決を国会の議決とする。
第61条 条約の締結に必要な国会の承認については,前条第2項の規定を準用する。
第62条 両議院は,各々国政に関する調査を行い,これに関して,証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。(国政調査権)
第64条 国会は,罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため,両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
第5章 内 閣
第65条 行政権は,内閣に属する。
第66条 内閣は,法律の定めるところにより,その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は,文民でなければならない。(文民統制)
3 内閣は,行政権の行使について,国会に対し連帯して責任を負う。(議院内閣制)
第67条 内閣総理大臣は,国会議員の中から国会の議決で,これを指名する。
2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に,法律の定めるところにより,両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき,又は衆議院が指名の議決をした後,国会休会中の期間を除いて10日以内に,参議院が,指名の議決をしないときは,衆議院の議決を国会の議決とする。
第68条 内閣総理大臣は,国務大臣を任命する。但し,その過半数は,国会議員の中から選ばれなければならない。
第69条 内閣は,衆議院で不信任の決議案を可決し,又は信任の決議案を否決したときは,10日以内に衆議院が解散されない限り,総辞職をしなければならない。
第70条 内閣総理大臣が欠けたとき,又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは,内閣は,総辞職をしなければならない。
第73条 内閣は,他の一般行政事務の外,左の事務を行う。
三 条約を締結すること。但し,事前に,時宜によっては事後に,国会の承認を経ることを必要とする。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために,政令を制定すること。
第6章 司 法
第76条 すべて司法権は,最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。(高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)
2 特別裁判所は,これを設置することができない。
3 すべて裁判官は,その良心に従い独立してその職権を行い,この憲法及び法律にのみ拘束される。
第79条 最高裁判所は,その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し,その長たる裁判官以外の裁判官は,内閣でこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官の任命は,その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し,その後10年を経過した後初めて行われる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し,その後も同様とする。(国民審査)
3 前項の場合において,投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは,その裁判官は,罷免される。(×を付ける方式。今まで国民審査で罷免された裁判官はない。)
第81条 最高裁判所は,一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である(違憲立法審査権・憲法の番人)。
第7章 財 政
第86条 内閣は,毎会計年度の予算を作成し,国会に提出して,その審議を受け議決を経なければならない。
第89条 公金その他の公の財産は,宗教上の組織若しくは団体の使用,便益若しくは維持のため,又は公の支配に属しない慈善,教育若しくは博愛の事業に対し,これを支出し,又はその利用に供してはならない。(政教分離の財政上のあらわれ)
第90条 国の収入支出の決算は,すべて毎年会計検査院がこれを検査し,内閣は,次の年度に,その検査報告とともに,これを国会に提出しなければならない。
第8章 地方自治
第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基いて,法律でこれを定める。
第93条 地方公共団体には,法律の定めるところにより,その議事機関として議会を設置する。(地方議会)
2 地方公共団体の長,その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は,その地方公共団体の住民が,直接これを選挙する。
第94条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる。
第95条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は,法律の定めるところにより,その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ,国会は,これを制定することができない。(住民投票)
第9章 改 正
第96条 この憲法の改正は,各議院の総議員の3分の2以上の賛成で,国会が,これを発議し,国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には,特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において,その過半数の賛成を必要とする。
第10章 最高法規
第98条 この憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない。
第99条 天皇又は摂政及び国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員は,この憲法を尊重し擁護する義務を負う。(憲法尊重擁護義務)