さて、記述には順番があるじゃないですか。
理由を答える問題、気持ちを答える問題、変化を答える問題、事柄や物事を答える問題、どれにしたって、同じ手順を踏みますよね。
大雑把に言うとですよ、
一つ目に、書く材料を集める。
本文に線を引っ張ったり、自分なりに気持ちことばを考えてみたり。
そして、次に必要なのが、これをうまいこと引っ付けること(あとは体裁を整えれば出来上がり)。
この、うまいことひっつけるのが、記述に苦手意識を持っている子の最も苦手とするところなんやないかと思われます。
日が暮れてしまった。雨が降ってきた。僕はとても心細かった。
これを引っ付けるのができない。
日が暮れてしまったり、雨が降ってきたので、僕はとても心細かった。となる。
このレベルでは、もとの材料がちょっと変わるだけで収拾がつかなくなり、前後の入れ替えなんかも、到底おぼつかない。
こういう場合、理由を仏重ねる場合には、~うえ、(後の方の理由には)~「も」って書いたらすっきり日本語になるぞ、と教えてやっています。
日が暮れてしまったうえ、雨も降ってきたので、僕は心細かった。
な?汎用性あるぜ。汎用性。使いまわせるっちゅうこった。
みそ(肝心な部分)は、理由を重ねるのに、「~し」を使わないこと、後の方の理由に~「も」を使うと、グンと日本語にこなれた感じになるということです。
似たようなもんでは、相反する理由をくっつける場合には、~である一方、あとの方は~「も」。禁じ手は「~なのに」。というのがあります。
さて、より難しいのは、理由を二つくっつけるもののうち、一つ目が「前提状況」のようなものになっているやつです。多くの子が苦労して、こういう場合は往々にして解答字数が長く設定されているから、2文に分けちゃえ、という解決法を取られる子もいます。
例えば・・・
日本は天皇の権力が強い憲法を作ろうとしていた。
プロイセンの憲法は君主に強い権力を集中させるものだった。
伊藤博文はプロイセンに渡航して憲法の研究をした。
どうしましょ。
日本は天皇の権力が強い憲法を作ろうとしていたので、プロイセンの憲法は君主に強い権力を集中させるものだったから、伊藤博文はプロイセンに渡航して憲法の研究をした。
ちょっと何言ってんのか分かんないすね。
日本は天皇の権力が強い憲法を作ろうとしていたが、プロイセンの憲法は君主に強い権力を集中させるものだったから、伊藤博文はプロイセンに渡航して憲法の研究をした。
これはOKですけど、なんか危うげでしょ?「が」は万能である一方、誤解も招きやすい。
これ大事。「が」は万能であるが故の使い勝手の悪さ(連続して使ってしまう危険・その時に文がぐっちゃぐちゃになる危険)があることに注意すべきですね。
こんなんどうしましょ?
明日は日曜日だが予定もなく、何をして時間をつぶそうかと考えていた。
友人から釣りに行かないかと誘われた。
迷わず行くと返事をした。
明日は日曜日だが予定もなく、何をして時間をつぶそうかと考えていたから、友人から釣りに行かないかと誘われたので、迷わず行くと返事をした。・・・?なんかなぁ。
中和の計算問題が苦手で、良い問題集を探していた。
予習シリーズという問題集が良いといううわさを聞いた。
さっそく次の日に買いに行った。
中和の計算問題が苦手で、良い問題集を探していたが、予習シリーズという問題集が良いといううわさを聞いたので、さっそく次の日に買いに行った。・・・まぁ、「が」は万能ですからね。しかし、逆説と混同していないかね、という疑問がふとした拍子に出てきやすい。理由がもう一つくっつくと、途端にごちゃごちゃな文章になってしまいもする。くどいけど、これ本当。
これらを一挙解決するのが、「~ところ」。
そういう状態・状況やってんけどな、でな、みたいなニュアンス。
ちょうど今ご飯を食べていたところやわ、の「ところ」と似ているけど、別物として考えた方が混乱しにくい。
上の例やと、
日本は天皇の権力が強い憲法を作ろうとしていたところ、プロイセンの憲法は君主に強い権力を集中させるものだったので、伊藤博文はプロイセンに渡航して憲法の研究をした。
明日は日曜日だが予定もなく、何をして時間をつぶそうかと考えていたところ、友人から釣りに行かないかと誘われたので、迷わず行くと返事をした。
中和の計算問題が苦手で、良い問題集を探していたところ、予習シリーズという問題集が良いといううわさを聞いたので、さっそく次の日に買いに行った。
な?すっきりせぇへん?
なんとなく慣れない?
キミは10年前、この世界の何にも慣れてなどいなかったことをお忘れか。
使ってください。慣れてください。
使い慣れれば言葉は自分のものになりますからねー。